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和牛産地における生産拡大の取り組み(株)だいちの事例

平成28年4月12日

発表者紹介

だいち(株)だいち 代表取締役 上岡義孝氏

株式会社だいちは、平成26年度に個人経営を法人化した。経営規模は肉用牛繁殖270頭で、県下でも大規模経営として位置付けられる。高齢化等により地域の飼養頭数が減少する中で若手生産者との協力により飼料生産部門の分業化や生産拡大等に向けた取り組みを進めている。

発表内容

「和牛産地における生産拡大の取り組み」
株式会社だいち 代表取締役 上岡 義孝 氏

スライドNo.1

スライドNo.1

スライドNo.2

スライドNo.2

皆さん、こんにちは。鹿児島県曽於市末吉町から来ました上岡です。それでは、「和牛産地における生産拡大の取り組み」ということで、発表させていただきます。

地域の概要(スライドNO2参照)ですけれども、鹿児島県の大隅半島の北東に位置しており、隣は都城ということで宮崎県に隣接しております。宮崎県とのかかわりの非常に深い地域であります。地域の状況としましては、高地面積が7割強あり、いわゆる今話題の飼料稲WCSの関連のものはなかなか進んでいかないのが今の状況です。牛、豚などの畜産を中心に、園芸やお茶が盛んな地域で、県下有数の農業地帯となっております。

県の事業産出額が4,263億円、うち畜産分が2,710億円であります。管内には、南九州畜産興業とか、曽於郡内、肝属郡内に4カ所の肉用牛の屠場などがある畜産地帯になっております。

まずは、鹿児島県の肉用牛の生産の状況と問題点をお知らせしておきたいと思います。本県は27年の2月1日時点で飼養戸数が9,000戸、飼養頭数が32万3,400頭、1戸当たりの飼養頭数は35.9頭ということで、飼養戸数、飼養頭数、それから産出額も全国でも一番なのですけれども、問題がこの1戸当たりの飼養頭数でありまして、34位ということで、いかに鹿児島県では大規模化が進んでいないか、なおかつ、小頭数農家が多いと言えると思います。

スライドNo.3

スライドNo.3

スライドNo.4

スライドNo.4

スライドNo.5

スライドNo.5

これは(スライドNO3・4参照)鹿児島県肉用牛の位置づけですけれども、見てくださればわかるとおりであります。肉牛に関しては、総頭数ではほかに抜かれておりますけれども、肉用牛の生産で、まだ何とか上位を保っている状況です。 鹿児島県の繁殖農家戸数の推移であります。(スライドNO5参照)赤い矢印がありますとおり、6年間で約4,500戸減少しております。試算によりますと、平成32年には7,100戸、平成37年度には5,500戸になる予想になっております。

スライドNo.6

スライドNo.6

スライドNo.7

スライドNo.7

関連しまして、(スライドNO6参照)本県の雌牛頭数の推移であります。これも赤い矢印のとおり、一番いいときからすると2万頭減少しております。数字にはないのですけれども、平成31年度には10万8,000頭、平成33年度には10万3,000頭、平成38年度には8万8,000頭になるような予想が出ています。私の曽於郡という地域が鹿児島県の中では肉用牛の中心的な産地でありますので、ここをどうにかして食いとめないといけないと思って、いろんなことをやっているのですけれども、なかなか皆さん頭数を維持・拡大できなく、今のこういうような状態を招いていると思われます。

その中でも一番問題なのが、繁殖農家の高齢化。いわゆる農家戸数の減少であります。数字を(スライドNO7参照)見てくださればわかるのですけれども、非常に高齢化が進んでおります。若い人たちがいない。ほとんど高齢者ばかり。特にうちの曽於市末吉町に関しましては、70歳以上の方が7〜8割という状況でありまして、非常に生産基盤の脆弱化が今進んでいるところであります。

加えて、ここにはないのですけれども、肉牛の重大な指針の1つである分娩間隔のほうも、408日と非常に厳しい数字になっております。実際、この数字というのは、流産・死産が入っているので少しは縮まるとは思うのですけれども、ここのところも含めて少し改善できたら、母牛頭数はふえなくても、出荷頭数がふえれば少しはいいのかなと思って、いろいろ勉強しながらやっているところです。

スライドNo.8

スライドNo.8

スライドNo.9

スライドNo.9

スライドNo.10

スライドNo.10

次に、鹿児島県における肉用子牛価格の推移であります。これは(スライドNO8参照)もう全国どこでも一緒だと思うのですけれども、子牛の異常な価格の高騰によりまして、経営は皆さんいいのですけれども、繁殖素牛を買えない。自分のところの雌牛を保有するよりも売ったほうがいい。離農される方は、今が離農するチャンスだ、今高いから全部売って楽になろうという方が多くて、今どんどん母牛のほうは減って、子牛のほうは高くなっているような状況です。

最高が平成27年の10月ですので、最新では平成28年の曽於郡の平均で、雌が69万8,000円、去勢が80万3,000円、平均が75万6,000円であります。平成28年4月で一番高いところですけれども、(多分日本でも一番高いところ)雌の価格が75万1,000円、去勢の価格が82万1,000円、平均が78万8,000円ということになっております。頭数が出てこないものですから、非常に高値で、異常事態となっております。

これは(スライドNO9参照)私の出荷する曽於中央家畜市場のところです。どこも一緒なのですけれども、高齢化が進んで飼養戸数・飼養頭数が減少しまして、肥育農家さんもそうですけれども、子牛を繁殖される方々も入れかえができない、買えないような状況が出てきております。

これは(スライドNO10参照)先ほど申し上げた3月の曽於郡の市場の様子及び平均価格です。これは税込みです。これはうちの従業員が引いている99万円の牛だったと思います。

スライドNo.11

スライドNo.11

スライドNo.12

スライドNo.12

スライドNo.13

スライドNo.13

続きまして、私ども株式会社だいちの概要を少し説明させていただきます。(スライドNO11参照)会社の設立が26年3月であります。登録は私と妻、あと従業員3名、パートが1名の合計6人です。飼養頭数は繁殖牛250頭、育成が50頭、計300頭であります。あと子牛のほうが200頭ぐらい常時いるような感じになります。主な施設とか経営面積です。

これは(スライドNO12参照)私の経営の歩みです。農業大学校を卒業したとき35頭だったのですけれども、何とか順調にきました。1回、平成20年に、減らして、それからまたふやしました。これは繁殖雌牛淘汰更新事業という国の事業で、母牛の選抜更新を行いました。それから順調に牛をふやしながら、今300頭というところになっております。

鶏さんも豚さんもそうなのですけど、牛さんもこのごろは病気が非常に多くて、防疫とか疾病対策とかに時間を割かれることが非常に多いです。今現在では、こういうふうに1日1回もしくは2日に1回ぐらいの消毒を行う状況になっております。(スライドNO13参照)

南九州では、今年の冬から春先にかけまして、シャモンダウイルスという異常産のウイルスがはやりまして、当農場でも何頭か出たのですけれども、甚大な被害が出ているところであります。

スライドNo.14

スライドNo.14

スライドNo.15

スライドNo.15

経営の特徴ですけれども、(スライドNO14参照)肉用牛における最新的なものはやっておりまして、分娩間隔は約370日で、平均価格の1割ぐらいは高めで売っていると思われます。経営方針なんかを見ていただければわかるのですけれども、肉用牛の中ではいろんなことをやっている農家だと思います。生産だけじゃなくて、育成牛とか妊娠牛とか、経産牛の肥育とか、お金になるものは少しでもやっていこうという感じでやっております。

牛舎は、パドック牛舎で、できるだけ手がかからないやり方で群管理を行っております。飼料作物については昨年、飼料作物の調整機械を全て導入し、新しい飼料体系になりました。大体、10アール当たり1時間でロールまで済むような感じになっています。

今後の目標ですけれども、私としましては500頭の肉用牛の繁殖経営を目標としております。従業員が若干足りないところはあるのですけれども、去年からやっています受精卵移植の技術とかを、優良雌牛も結構ふえてきましたので、その牛を中心にしながらいい素牛をふやしていきまして、高値で売れるような子牛をたくさん産出していくようにしたいと思っています。

あと、一番の課題だと思っているのは、法人組織の中で肉用牛の生産部門と粗飼料の生産部門を分割して、粗飼料生産部門を、コントラクターをつくって、農地用地の面積30ヘクタールを、大体40ヘクタールまで拡大したいと、今頑張っているところであります。

私が住んでいる曽於市には、曽於市畜産クラスター協議会を設立しております。曽於市、鹿児島県、曽於・鹿児島農協、農業共済組合農家が中心になって、地域畜産の振興に取り組んでおります。今年度は私の牛舎も1棟クラスター事業で建てることになっております。70頭規模の牛舎です。そんな感じで頑張っております。以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

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