総会記念講演会の概要について
平成24年5月30日
一般社団法人全日本畜産振興事業中央会総会記念講演会の概要について
平成24年5月30日(水)、一般社団法人全日本畜産振興事業中央会(略称「全日畜」)は、同日開催の第4回全日畜定時社員総会に、多くの商系生産者が参集する機会をとらえて、全日畜としては初めての企画となる「全日畜総会記念講演会」を開催した。
講演会には、会場を埋め尽くす96名の参加があった。金子全日畜事務局次長の司会で開会。西原代表理事からは、「今日はお二方のご講演で大いに刺激をいただきましょう」と開会挨拶。その後の講演概要は以下のとおり。ユニークで迫力ある河津社長の講演、米韓FTA等の国際貿易交渉についての岩波部長の講演、2題とも大盛況で、閉会後も参加者の間で大いに話題になった。
[配布資料から抜粋]
日時:平成24年5月30日(水) 13:00〜15:00
会場:南青山会館 大会議室
講演会次第
[進行役:全日畜事務局次長 金子幸治]
1)開会:13:00 〜
2)主催者挨拶 全日畜代表理事 西原 登
3)講演その1:13:10 〜
演題 「トリゼンフーズ株式会社の歩みと今後の戦略」
講師 トリゼンフーズ株式会社 代表取締役社長 河津 善博 様
果敢に事業展開中のトリゼンフーズ(株)。経営者としての心構えなど広範にご講演頂きます。
1972年 有限会社 とり善 入社
1998年 トリゼンフーズ(株)代表取締役 就任
西南学院高等学校同窓会会長、福岡ライオンズクラブ会員、吉塚
カトリック保育園理事長など、多くの要職を歴任
4)講演その2:14:10 〜
演題 「畜産物貿易をめぐる情勢」
講師 独立行政法人 農畜産業振興機構 調査情報部長 岩波 道生 様
国際情勢をたっぷりとご講演頂きます。
1983年 農林水産省入省
1993年 大臣官房企画室 企画官
1999年 在ニュージーランド日本国大使館 参事官
2005年 大臣官房国際部国際調整課 国際貿易交渉官
2008年 (独)農畜産業振興機構 総務部長
2010年 (独)農畜産業振興機構 調査情報部長
5)閉会 15:00
講演その1
演題:トリゼンフーズ株式会社の歩みと今後の戦略
講師:トリゼンフーズ株式会社代表取締役社長 河津善博氏
講師は、ブロイラー農場経営の家業を引き継がれて後、常に、経営者として事業の存続発展のために、どのような経営戦略が必要か考えてきた。昭和40年代から50年代までは飼養増羽と取引顧客の拡大。経済成長も鈍化しつつあった昭和60年代には、単純な飼養増羽では太刀打ちできないとの経営者判断から、食の世界に事業を広げることを考え、加工品製造販売事業に着手。同時に、差別化を図るためにブランド鶏「華味鶏」を確立し、飲食店経営にまで事業展開。
また、食の世界に事業を広げた後、店舗展開や従業員の雇用、処遇に対する考え方など、ご自身の体験に基づき親しみやすい口調で講演。鶏の水炊き「華味鶏」の店舗展開には、成功例のみならず失敗例を語られ、成功の秘訣を問われ「九州の水炊き文化の素地に支えられた」と紹介。時を読む・先を読むことが大好き(楽しい)とか、今は「人づくり」に専念しているなど、経営者としてのキーワードが沢山紹介された。また、事業者としての活動の他に、ライフワークとして20年以上にわたって継続して取組まれている、ミャンマー国への教育支援活動の紹介には、大変感銘を受けた。 講演後の質疑では、「講師の前向きで旺盛なチャレンジ精神はどのように醸成されたのか?」との質問があった。
講演その2
演題:畜産物貿易をめぐる情勢
講師:(独)農畜産業振興機構 調査情報部長 岩波道生 氏
講師は、「平成の黒船」と言われ昨今関心の高まっている国際間の貿易交渉について、WTO農業交渉における加盟国の立場、食糧輸入国としての我が国の立場について説明され、その後、特にわが国に事情が類似している米韓FTAの締結交渉の状況について、データーに基づき丁寧に講演。
韓国が交渉を決断した背景として、韓国内の急速な高齢化・過疎化の中での政治的発言力の激減。農村人口の流出により、市場開放による農業への悪影響に無関心な都市住民が急増。など、そっくりな状況を紹介。我が国の今後を考えるにあたって参考となる米韓FTAの状況を豊富な画像資料で紹介された。
講演後の質疑では、「TPP交渉参加の課題などにおいて、正確で分かり易い情報やデーターが開示されていない。これでは、的確な判断ができない。ALICの情報提供活動に、大いに期待する。」との意見があった。